2014年11月28日 

仕事に休みがないほど激務だった父が理解できなかったけれど、大人になってから父に感謝していること

「クリスマスが、今年もやーってくる♪」

「ウィーウィッシュ・ア・メリークリスマス♪」

テレビをつけると、クリスマスチキンやクリスマスケーキのCMが流れ始めます。

もう洗脳かのごとく、じゃんじゃん流れています。
この手のCM、私は正直言ってとっても苦手です。

「こんな幸せそうな家庭なんて、実際に存在するのか?!」

どうしても、どうしても、このほんわかとした幸せそうなCMを見ると、自分自身の子供の頃を思い出してしまい、CMが流れ始めるとどうしても目を背けてしまいます。

じーっと見るのに、私は耐えられない理由があるのです。

クリスマスの時期は超がつくほど忙しかった父

私の父は、誰もが知っているような大手食品メーカーに勤めていました。

CMでクリスマスケーキを流しているメーカーなんて言ったら、ピンと来る人はわかってしまうかもしれませんね。

この時期は、クリスマスケーキの販売商戦真っ盛りです。

キラキラとした赤と緑のCM。
家族が笑顔になっているシーン。

そんなほほえましい楽しそうな食卓風景のウラで、私の父は、クリスマスケーキを運ぶ仕事をしていました。

でっかいトラックに乗って、各販売店にクリスマスケーキを届けます。

とにかく12月なんて休みなしです。
年末年始ずっと働きっぱなしです。

特にクリスマス時期は、1番稼ぎ時です。
夕方に家を出て、夜中にケーキを届けます。

あまりにも忙しすぎて、12月なんて父の影さえ見たことなんてなかったほどでした。

余ったクリスマスケーキが朝食代わりだった

一生懸命運んでも、やっぱりクリスマスケーキには賞味期限があります。売れ残るとどうしても余って困ってしまうのです。

そんな余ったケーキを毎日持って帰ってきて、朝起きたら我が家の台所にはクリスマスケーキが置いてありました。

今の食品衛生法からすると、考えられないですよね。当時は自宅に持って帰ることが許されていた時代でした。

なに?ケーキがたくさん食べられてうらやましい限りですって?最初は毎日ケーキを食べられることが、とっても嬉しかったのです。

「わーい!今日は大好きなチーズケーキだぁー!」

朝食代わりに毎日食べていた私ですが、あの頃は新陳代謝が良かったのか、いっくら食べても太りませんでした。

「お父さん、一生懸命運んでくれているからね。」

朝食もお昼も夕食も、一緒に食べられないすれ違い親子でしたので、そのケーキが、私の父の愛情代わりです。

でも、正直毎日ケーキばかりでうんざりでした。

私としては、毎日ケーキではなくて、毎日父が朝にいて欲しかったのです。

クリスマス当日に、父は1度もいたことなんてなかった

そんな多忙なクリスマス時期にずっと働いていた父だけに、当然、クリスマス本番も不在です。

「お父さん、クリスマスなのにいないね。」

母と2人でスーパーで買ってきた照り焼きチキンと、父が毎日置いて行ったケーキでクリスマス本番も過ごしました。

その2つを食べながら、1回でもいいから父とクリスマスを過ごしたいと思っていました。

「お父さん、なんでいつもクリスマスにいないの?」

子供心ながらに、わがままをずっと言っていました。

寒い夜中に手と足がブルブルと凍えながらも、心がワクワクするケーキを運び続けていた父でした。

「お父さんはね、みんなに幸せを届けている仕事をしているからだよ。」

当時は幼い感情だけがむき出しになって、母に父がいない寂しさだけをぶつけていた私でした。

そんなことなんて、知ったこっちゃないです。

他の家では、なんでワイワイとパーティーをやっているんだ?

お父さんがサンタクロースに仮装して、バーン!ってクラッカーでびっくりして、みんなで笑顔でケーキを食べているんだ。

でも我が家には、父がいない。いない、いない。何をどう叫んだって、いない。

でもこの母の言ったひと言が、自分が働き始めてから、ようやく理解出来た言葉だったのです。

働いている人がいるからこそ、幸せを感じることが出来る

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「働いている人がいるから、休みの日にイベントを楽しめるんだ。」

こういったイベントがあるたびに、こう思うようにしています。

クリスマスケーキが食べられるのも、おいしいチキンやピザが食べられるのも、みんなが見ていない裏で一生懸命に頑張っている人がいるからこそ食べられるのです。

そして、楽しんでクリスマスイベントをすることが出来るのです。

クリスマスに楽しんでいる家庭もいれば、こういった職業に親が就いているばかりに、1度もイベントを楽しんだことがいない子もいます。

生まれた時から親がいなくて、施設でみんなで食べている子もいます。

親からの虐待を受けて、食べる楽しみもない子もいます。

母と2人でも愛情たっぷりのご飯を食べられた私は、とてつもなく幸せな子だったに違いありません。

多くの人が家族を支えるために、自分の家庭を犠牲にして働いています。

同じ働くものとして、純粋に無邪気に楽しむことも大切だけれど、働いている人に感謝する心を忘れてはいけません。

自分の利益になることばかり考えてはいけない。
自分だけがトクすることを考えてはいけない。

人に感謝をするから、幸せを感じることが出来るのだ。

こんな事を考えられる子に育ててくれた父に、私は感謝しよう。

父の勤務形態には今でも納得出来ていないけれど、父の働くことに対する考え方は、自分にも取り入れていこう。

子供達に、おじいちゃんの仕事なーに?って聞かれたら、きちんと言おう。

「おじいちゃんはね、笑顔と幸せを届ける仕事をしていたんだよ。」

父が頑張った分、幸せを受け取った家族も多かったことだろう。

我が家でクリスマスパーティーの時の話題にしてみようかな?

毎年食べ過ぎてもう見るのもイヤになっていたけれど、父が一生懸命に運んでいた愛情たっぷりのケーキは、何十年も時が経ってどんな味に進化しているかな?

何だか書いていて、とってもワクワクしてきました。

今年は1つ買ってきて、CMみたいな温かい食卓にしてみよう。

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